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パン屋再襲撃



先ず、一読して最初に思ったことは、ほんとうにマクドナルドを襲ってしまってはいけなかったのに…

ということだった。

前作では、パン屋を襲撃したが、まんまと肩透かしをくらい見事なまでに不条理な作品足りえており

無限なまでのふくらみと、また可能性をも感じさせてくれた。

にもかかわらず、今回に於いて実際に実行犯となってしまったことによって

物語は俄然現実味を帯び、不条理ではなくなってしまった。

ここにおいて、不条理だからいい、現実的な話だから駄目だ、などと云っているのではない。

不条理な発想のもとに、不条理な世界が進行深化していたにもかかわらず、実際に従業員たちに縄をかけ

ビッグマックを頂戴してしまったことによって、突如として物語は色褪せ

現実に我々を引き戻し、広がりのない、そして夢のないお話へと化してしまった。

しかし、ここで翻って考えてみるならば、

今回のマクドナルド襲撃のイニシアチブを握っていたのは

女性である主人公の妻であり、主人公(真の主人公はその妻である)は

彼女の言いなりとなってただ行動するのみである。

「ほんとうにこんな事をする必要があったんだろうか」と

二度にわたって彼が云っていることからも窺えるように

物理的なその犯行の手口のみならず犯行の精神的支柱となっているのは、彼女である。

女性は男などよりは、よっぽど現実的な生き物なのであり、さらに女性であるばかりか妻という立場

であるならば、よけいに現実的な思考をするのが常の存在である。

よって、そういった存在が今回の襲撃の主導権を握っているのならば

結末もどうしても現実味を帯びないわけにはいかなくなってくるという訳なのだ。

だから、夢のないお話になってしまったのは仕方のないことであり

この点において作者を責めることは出来ないのだが

一読者としては妻に最後までイニシアチブをとらせずに大どんでん返しがほしかった

というのが本音のところだ。

実行犯となってしまったふたりには、もうこれ以上物語を紡がせることが出来なくなってしまった

というわけなのである。 

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